第12章

離婚の事実が明らかになった後、樋口浅子はもはや宴会に居る資格を失っていた。

相澤おばあさんが彼女を好ましく思っていないこともあり、樋口浅子は非常に察しよく先に退席することにした。

メイン会場は8階にあり、彼女が出てエレベーターを待とうとしたとき、隣の階段室から突然物音が聞こえてきた。

その声が藤原美佳によく似ていたので、樋口浅子は恐る恐る中に入っていくと、口論の声が耳に届いた。

「写真はもう送ったの?どうして樋口浅子はまだ追い出されていないの?」

「え?離婚?」

「ふざけるな、相澤裕樹は三年前に全然離婚してないわよ、彼らが離婚するなんてありえない!」

彼女は息を殺して、耳を澄ま...

ログインして続きを読む